落語から

 週末は都内で、講師の経験がある人や、これからセミナーを開催したい人を対象にした勉強会に出席。登壇してお話してくれた講師経験豊富な方は、「落語が大変参考になる」と発言されていた。
 
 堀井憲一郎氏『落語論』(講談社新書)を読んでいたら、
≪だから、エネルギッシュな落語家は。みな、客の気を読んでいる。元気な落語家ほど空気を気にして、和を考えている。客との和を気にしていない落語家は、まず元気がない。自分がうまくできたかどうかだけチェックしているだけだから、エネルギーを生み出す要素がないのである≫
 という一文がどーんと目に入ってきた。だから和を気にしていない落語家は売れていないというのである。

 聴取者に満足してもらうという点では本当にその通りで、私は今まできちんと考えていなかった。用意したレジュメ通りに進めることばかり考えていた気がする。


 早朝寄席とか、深夜寄席など二ツ目さんの落語を聞くことが多い。彼らにもしっかり、会場のお客さんの気持ちを捕まえようとするタイプと、師匠に教わった通りマクラから話すことに終始するタイプに分かれていて面白い(二ツ目さんといっても、ようやく前座を卒業しましたという人から、そろそろ真打というひとまでキャリアの差がとてもあるのだけれど)。
 私よりはるかに年下の噺家が「お見立て」とか、吉原を舞台にした噺で昭和33年の赤線廃止のことに触れ、なんで廃止したんだ、というマクラだったりすると、軽く驚いてしまう。
 
 同年代の若手真打の師匠たちの話しぶりや、生き方より二ツ目さんたちに自分を見てしてしまう私。生き方が定まらない自分の青さが彼らに感情移入してしまうのだろう。
 
  

青レモンジャム

友人の案内で、市内のワインショップに連れて行ってもらった。
入ってびっくり。
目に留まるのは、ゆったりとくつろげる大きなテーブルと椅子。

いわゆる「ワインに強い酒屋さん」ではなく、ワインやヨーロッパの調味料やジャムなどをゆったりお話しながら選べるお店でした。

車で行ったので、試飲はできず。かわりに珍しいジャムを試食させてもらった。

イタリア産の青レモンジャム。酸味とさわやかな香りとほどよい甘み。
「豚肉を塩コショウで焼いてこのジャムをのせて食べるとおいしいですよ」

おお。今日の夕食決まり! 

「どんなワインがお好きですか」
連れてきてくれた友人はワインにとても詳しいので、好みのワインも具体的で、銘柄リストを真剣に読み込んでいる。

オーナーは、「こんなワインが欲しい」と言うと、裏をかくというか、お店に入るまでは予想もつかなかったものを結果的に選んでくれる。

この、展開、かなり楽しそう。
いい加減、長い年月を生きていると、日常の中で結果が予想ができることがだんだん多くなっていって、退屈なことが多くなってくる。よほど気持ちを磨いていないとわくわくできないことばかりになるのだ。

夕食。さっそく、豚肉の青レモンジャム添えを試してみると、描いていた通りのおいしさ。
しかし、味に保守的な私以外の家族は、「なんじゃこりゃ」としょうゆをドバドバとかけていたのであった。

円朝まつりに行ってきました

今年のスケジュール帳を購入した時に一番に記入した予定「円朝まつり」に8月7日行ってきました。
場所は東京谷中。三遊亭円朝の墓地がある「全生庵」というお寺の境内でした。
まつりに参加する前に円朝作『牡丹灯籠』(岩波文庫)を読みました。
「旗本の娘お露の死霊が、燈籠を提げカランコロンと下駄を鳴らして、恋人のもとに夜な夜な通う」
というのはストーリーのほんの一部。実は、自分の親の世代からまつわる因縁と因縁が絡み合う長ーい話なのでした。悪人がたくさん出てきて、ラテン系ドラマのようなすごい話です。当時は寄席で何回にも分けて話をしていたから、今でいう、テレビドラマのような楽しみ方をされていたのでしょう。

さて、肝心の「円朝まつり」。

千駄木駅で降りるはずが根津で降りてしまったりして、駅についても反対方向に歩いてしまったりして、なかなかたどりつきません。
息子(秋葉原とお台場に連れていくというエサ付きで同行してもらった)ともども炎天下、へろへろになって会場に着いたところで目の前に飛び込んできたのは、「千両みかん」の屋台…。冷凍ミカンを一個たった100円(千両から比べたらただみたいに思える)で売っていたので、購入。
禁酒番屋」ならぬ「飲酒番屋」では鈴々舎一門の馬るこさんが玉のような汗を流しながら東北の美酒を販売。朝から冷酒をいただきました。

ホッピーとおでん(立ち飲み屋文左衛門)や牛すじ煮込み(林屋の牛めし)も、うんまい! 

飲んで食べて、屋台をあらためてめぐってみると、話題の林家彦いち師匠の「板わり(労わり)の男」では、既に割られた板が積み上げられ、師匠は手に包帯を巻いて「治療中」。頭にきていることなどを板に書いて思いっきり割ってもらい、すっきりさせていただく趣向の屋台。割られた板に「原発」と書かれていたので、「福島から来たんですよー」と師匠と話をさせてもらいました。
ほどなく、「労わり」再開。「風評被害」(わかりやすくいなあ)と書いて割ってもらいました。師匠、カッコよかったです。ちなみに私の前の人は「東京電力」と書いてもらっていました。

人気の噺家さんの前には自然とサインを求める列ができていて、私もちゃっかり並ばせてもらう。インドア、日が暮れてからが主な活動時間(というイメージ)の師匠に、炎天下でサインをいただくのも酷かなあとも思いましたが。

飲んで食べてミーハーに楽しませていただきましたが、次回は法要や奉納落語会も見てみたいと思います。現在、来年ご一緒してくれる方募集中。


三遊亭円朝の墓前で拝ませてもらい、会場を後にしました。

塩ケーキを焼く

パンケーキは簡単に焼けるので、最近調子に乗っている。先週は3本焼いた。今朝は、塩ケーキを焼いた。今日はブロッコリーとベーコンと玉ねぎとマッシュルームを具にした。焼き上がりは意外とあっさり。今度はマヨネーズを加えてみようかな。

プロボノでプロのデザイナーの方にイラストレーターの使い方を教えてもらう。今度私に出来ることが合ったらその分をお返しする予定。
地元が震災で仕事が縮小している分助け合うのだ。

ケーキと家

仕事が一段落したら、塩ケーキを作ってみたい。と、かねがね思っていた。今度の震災と原発事故の影響で、図らずも時間ができたので、念願のケーキ作りにトライ。洋菓子はケーキ屋さんで買った方がおいしくて材料費や道具を揃えることを考えるとコストも安いと、今までほとんど手をつけなかった洋菓子作りであったが、まずは基本のパンケーキ作り。

オーブンレンジについてきたレシピの通りに作ると、驚くほど簡単にできる。材料を混ぜて、型に入れて、後は時間と温度を設定しておけば焼きあがる。なんだー。調子に乗って、プロボノで参加した校正作業時に持参するとみんなが褒めてくれる。気を使っていただいて恐縮。お菓子作りの醍醐味はこれか。

いよいよ、ケークサレ(塩ケーキ)作りに挑戦。1年前から切り取っておいた新聞にあったレシピにそって作る。キャベツとウインナーとたまねぎを入れて焼いてみた。焼きたては確かにおいしい。外側がサクサクしている蒸しパンみたいだ。反省点は胡椒をきかせ過ぎたこと。強力粉をブレンドせずに薄力粉だけで焼いたため、翌日はパサパサしてしまった。今度はベーコンとマッシュルームとブロッコリーでトライしてみる。

今の家に越して10年が過ぎた。家人が各々好きなところにモノを置くので大変なことになっている。
『40代からの住まいリセット術』

40代からの住まいリセット術―人生が変わる家、3つの法則 (生活人新書 329)

40代からの住まいリセット術―人生が変わる家、3つの法則 (生活人新書 329)

(水越美恵子著・NHK生活人新書)を読むと、住まいの悩みを解決する道筋がはっきりして、家の配置換えに俄然やる気が出てくる。
部屋ごとの機能を見直し、動線を考え、視点が集まる場所を意識して家具やオブジェを置くことがポイントだ。

まずは、洗面所の機能を整え、余震で落下するのが怖くてダンボールに詰めっ放しにしていた本を落下防止の欄をつけた書棚に戻し、使っていなかった食卓を粗大ゴミに出した。けど、道のりはまだまだ遠い。来月までには、仕事部屋の機能をアップしたい。

今までは、資料を読み込んだり、まとめて原稿を書くために、愛用していた喫茶店を利用していたが、震災で臨時休業。ほとほと困った。
仕事部屋があるのに、仕事ができない部屋になってしまっていたからだ。
その喫茶店、決して広くなく、いつもほぼ満席で話し声が飛び交う。BGMはさりげなく椅子やテーブルは手作りで、硬いのにすわり心地がいい。私にとっては追い詰められたときに奇跡を起こす喫茶店だった。

その喫茶店、今月から営業開始。『40代からの住まいリセット術』もそこであっという間に読めてしまった。

日常と非日常のあいだ

郡山市内の知人の飲食店が震災により閉店を決めた。と、先月知って、心配でもう一度その方を訪ねてみると、その理由が原発事故にあるということだった。

安全な農作物や安全な水を原料にした食事をもう提供できないと考え、お店を続けるのを諦めたという。

ただ日常をやり過ごしていた私には少なからずショックだった。
放射線物質の知識も乏しいので、少し書物を読んでみた。

放射線物質に関しては、たとえ少量でも危険と考える見方と、放射線物質(のみ)を原因とする癌と断定できないことからデータがないため、一度に100ミリシーベルト以上浴びないとリスクは明らかではないゆえに安全だという見方があるとわかった。

また、リスクの考え方についても、「一度に100ミリシーベルト以上浴びると1000人に5人癌になるリスクがある。ということを受け入れるかどうかはあなた次第。(だけどみんなで生活を放棄すると大変ことになるから今までどおり日常生活を守ろう)」と、いう長崎大学から派遣された山下俊一教授の言葉をまとめて配信する情報誌「福島リビング」と「1000人に5人の癌リスクが増えることは大変だ」と話す武田邦彦氏がいるようにとらえ方が別れている。

1000人に5人。これ、学校一校あたりの生徒数と考えるとリアルな人数だ。平均寿命に近づいて癌を発症するならともかく、若年でも癌を発症するリスクが同じだとしたら・・・・・・。 かなり怖い数字ですよね。

子どもの担任の先生にきいたところ、学校現場では校庭の土壌の除染をはじめ、ガラス戸を洗浄したり、側溝の泥を取り除いたり、生徒たちを守るために手をかけてくれていることがわかった。また気温も上がっている中、窓を開けずに授業を行っている。

郡山市の教職員組合主催の反原発集会で話を聞くと、以前から原発について学習していた二本松市の主婦の人は怖くて、長野県に引っ越すことを決めたという
(会の挨拶に立った社民党の市議は「私たちが言ってたことが的中した!と、少し嬉しそうに話していた)。

日常生活を守りながら、健康リスクを減らすにはどうすればいいのか・・・・・・の葛藤の毎日です。

健康のためにランニングやヨガを続けている。外国から見たらこれだけ放射線物質の値が高い地域で、何してんだ思われてるんだろうなあとスポーツジムからの帰途、思ったのでした。