他者によってしか存在しない

 学者の小熊英二氏は『<ことば>の仕事』(仲俣暁生著 原書房)のインタビューの中で、出版社勤務を辞めて研究に専念した時をふりかえって、《自分がやりたいことでもあるし、同時に社会にとっても意味のあることなんだ、ということについての判断はじぶうでできているという、根拠ははっきりしないかもしれないけれど、自信があるのでしょう。》と語っている。すごいことである。

 ここ数日、急に仕事が一段落してぽっかり時間が空いたのだが、甚だ不安になってしまった。自分なりにやりたいことがあってフリーになったはずなのに手につかない。
 私はその時に関わっている仕事や仕事を通しての人間関係によってしか自分の輪郭を確かめられない、らしい。
 仕事と仕事の間の時間で何かをこなすことはできるが、いつやっても良いくらい時間が出来てしまうと、とたんに心もとない。糸の切れた凧のようになり自分を捉えられなくなってしまう。

 つきつめると、最後には自分の存在は家族間の中だけで輪郭が出来る。そのイメージは桃の種のような大きさでしかないところが、自分の脆弱さの表れなのだが。

 今日は朝から銀行と買物に出かける。100円ショップから始まり、帰りは古本屋(GEO)で新書や漫画を数冊購入。
 途中ヴィレッジヴァンガード(行く度にここで一度働いてみたいと思う)で『音楽が分かる世界地図』(世界の音楽編集部編 ロコモーションパブリッシング)を買う。洋楽やワールドミュージックを聴くのが好きだが、レゲエやスカの違いを上手く説明できないようなあやふやな知識をテーマ別の世界地図や歴史で整理することが出来る。 
 各国のレコード会社一覧(と所属アーティスト)、エポックメーキングになった音楽フェスティバル、伝説になったパフォーマンスなどそれぞれをもう一度おさらいをしたい人やもちろん最近JPOP以外を聞き始めた初心者にもピッタリ。お勧めです。