ウエット&ダウナーな映画を2本

 今日は予定がなくなり、ぽっかり時間が空いた。スカパーで映画を2本見る。
一本目は1974年製作の「しあわせ」(恩地日出夫 監督 脚本)。結婚前に娘(角ゆり子)が進行性の癌だと知った母親(乙羽信子)が、娘に女として幸せな結婚生活を送らせてあげたいと、真実を娘の夫(岡田裕介)にだけ知らせる。ところが夫や母のやさしさから娘は自分の病を悟り、やがて死が迫ってくるという話。若い女性が恋人に抱かれ死を迎える物語はセカチューへも引き継がれる構図である。
 ストーリーだけだと典型的なお涙頂戴物語なのだが、30年前のブルーカラーの若者の結婚生活のつつましさや、都内の商店街のごちゃごちゃ感が当時小学生だった私には懐かしく、新鮮でもあった。
 残された半年の命の中で、夫婦同士、母娘同士の愛情が織り成され、図らずも私もティッシュを手放せず。気分が落ち込み気味なので余計に涙腺が弱い。

 二本目は2004年の映画「ミラーを拭く男」(梶田征則 監督 脚本) カーブミラーのところで交通事故を起した男(緒方拳)が、カーブミラーに固執し、全国のカーブミラーを拭くという目標を掲げて家を飛び出し、北海道へ渡ってから三年が経つという話。緒方拳はミニマムのセリフ量の中で、気弱だけど自分だけのミラー磨きに人生をかけてしまう人間の不思議さと味わいを表現している。本当にどれだけたくさんのミラーを磨いたのだろう。磨き方がとても上手い。
 
 「中年以降の自分探しの旅」を見ていると切ない。私は何故か(主人公の目線で見るのは当たり前とも言えるが)残された妻(栗原小巻、 妻は妻で夫がいないことを受けれ、自分が出来ることを探していく)よりも夫のほうに気持ちをなぞらえて見てしまう。

 どちらも日本映画チャンネルにて。