マイケル・ムーアSiCKOの魅力

 新幹線に乗るまでに時間があったので、池袋でマイケル・ムーア映画「SiCKO」を見た。
 アメリカの医療保険の問題をえぐる内容だとは知っていたが、アメリカの医療保険制度がもたらす悲劇の様には打ちのめされた。何らかの事情で保険料を納めていない人が医療をうけられずにいるという話しではなく、民間企業に制度の運営を任せた結果、保険に加入し、保険料を収めていたとしても治療が受けられない、保険料が出ない例が少なくないというのだ。ホラーに近い。

 日本人は自虐的だとよく言われるが、どこかで同邦の人やシステムを信じている。だから、年金が社会保険庁地方自治体の役場でネコババされているとは想像できなかった。

 アメリカ人も自分の国の制度がこんなに欠陥の多いものだとは思っていないのではないか。
 マイケル・ムーアは西側諸国の無料で治療が受けられる医療制度を紹介しながら、相対的な視点を持つようアメリカ国民に訴えてる。

 最後のほうでアメリカ国民が恐怖国家と恐れているらしいキューバの医療が紹介される。ここはキューバの医療事情に関してこの映画は真実を映してはいないという指摘をあらかじめ聞いていたので、一番関心のあるところでもあった。

 私はわからないでいる。

 マイケル・ムーアはだまされているのか?
 それとも、アメリカの医療制度から取り残され困窮している人を救うために取引をしたのか?

 ただし、映画に一貫して流れているマイケル・ムーアの弱い立場の人たちへの目、一生懸命に仕事を慰している人への支店の暖かさ、情の深さは素敵だ。

 かなり心に響く。

 隣の席のカップルで来ていた男性もすすり泣きしていました。