どうりで新鮮なはず

 古典を一気に読んで、古典を味わい、楽しむという講座に参加してきた。
7月に課題図書の案内があり、開催までの2ヶ月のうち、5冊は2週間前に文字通り一気に読んだ。

ちなみに課題図書は下記の通り

オルテガ『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫、924円)
マルクスユダヤ人問題によせて ヘーゲル法哲学批判序説』(岩波文庫、588円)
福沢諭吉『新訂 福翁自伝』(岩波文庫、798円)
マックス・ヴェーバー『職業としての政治』(岩波文庫、483円)
井筒俊彦イスラーム文化』(岩波文庫、630円)
プラトンソクラテスの弁明・クリトン』(岩波文庫、483円)
ヘミングウェイ老人と海』(新潮文庫、420円)
夏目漱石吾輩は猫である』(角川文庫、483円)


 時間が限られている中で、集中して読まなくてはならないときに助かったのはIpot
 これはマルクスを読んだときに気づいた。著者が生きた時代に近い音楽を聴きながら読むと、頭に入りやすいのです。19世紀でドイツ出身のベートーベン。オルテガなら20世紀前半の(国は違うけど)プーランクを。
老人と海』はキューバ音楽が手元になかったので、ボサノバで。大雑把だなあ。でもラテンはラテンということで。


どれも、読んで良かったと思う本ばかり。しかもひとりで読もうと決めても挫折してしまいそうなものが多かったのもよかった。
他の参加者は涼しい顔をして読んでくるのだろうなあと思ったので、だいぶ今回は必死になりました。

 『吾輩は猫である』は若い頃に読んだことがあるので、楽勝かなと後回しにしていた。ところが、いざ読み始めてみると途中から内容に既読感がまったくない。
 485Pのフィンガーボールの話は小学校の時に道徳の教科書に出ていた、「外交の席で来賓が間違ってフィンガーボールの水を飲んでしまったが、女王がそれに合わせて飲むことで客に恥をかかせなかった」逸話に似ているので、読んだらびっくりしていたはずなのに、覚えていない。

 若い頃読んだと思った『吾輩・・・』は何ページまで読んでいたのか?たしかめに実家に行き、当時読んだ旺文社文庫(!)版のものを手に取った。栞の挟まっている位置は50P・・・。わずか50Pで挫折していたのか。どうりで初めて読んだような気分だったはずだ。
 今回『吾輩・・・』を読んだ時は分量の多さには苦労したが、ゲラゲラ笑いながらかなり楽しんで読んだ。私も少しは成長している。


今回の本でとりわけ感心したのは、『イスラーム文化』の井筒氏の語り口だ。イスラーム教についてこれほどあざやかに簡潔に噛み砕いて語ってくれているのだ。
1980年のイラン革命の時期の講演録だが、今でも、今でこそ読むべき本だったのですね。


講座も無事参加し終えて、ちょっとラフマニノフを弾いた「のだめ」の気分デス。