ぐったりしながら今頃読む

 今さらなのだが、『少年H』を読む。体がだるくて午前中起きられなかったので、寝ながら読む。

 リベラルな家で育った昭和5年生まれの少年が見た戦争の話。出版された1997当時にかなりのベストセラーになったので、後ほど史実と違うという批判本も出たようだ。
 小説なので書いている本人がモデルになっているとは言え(モデルだからこそ)平成の世からの視点が無意識にも交ぜられるだろうし都合の良い表記も出てくると思う。戦時中の新聞記事の内容が再三出てくるので、書くときにもう一度当時の記事を集めて読み直したにも違いないから、そのあたりがどうしても当時の感覚ではないようなナチュラルじゃない解釈がされている感じ。

 さて、何で今さら『少年H』を読んだかというと、朝のNHK連ドラ「純情きらり」で登場人物が出兵する時に「必ず生きて帰って来い」「無駄死にするな」という声を(今から見ると)正しい心持の主人公が言うだけではなく、けっこう脇役の人も言っているのです。それは子どもの頃から若いときまで見ていた私の戦争ドラマのイメージとだいぶ違っているのですよね。
 (今から見ると正しくなかった)常識ある脇役の人が「お国のために戦ってきなさい」とは言わないという転換点は『少年H』ブームからなのかなあとちょっと思ったのでした。