おばちゃんはあめをあげる法則

 いつも通勤のバスの中では本を読むことにしているのだが、今朝は読んでいる本をベッドの枕元に置いたまま出てきてしまった。「しまった」と心の中で舌打ちしていると、「隣の席良いですか?」と声をかけられたので「どうぞ」と応えたら、話し相手になると思われたらしい。
 腰をかけたおばあちゃん、堰を切ったように話し出す。

 今日は病院に行く日で、週3回通っていてと矢継ぎ早である。突然かばんをごそごそ探し出し、ついでに私の持っているバッグが物がたくさん入りそうでいいわねと言い、かばんの中に入っていた飴をくれた。
 
 以前「探偵ナイトスクープ」でおばちゃんはかばんの中に必ず飴を入れて、出会った人にあげる法則というのを放映していたが、本当にその通りだ。

 そのおばあちゃんの行く病院(かかりつけの先生の名前まで教えてくれた)の病院までしばらくあり、少しうんざりしていたが、こちらがどう返事しようとも関係なく一方的にしゃべっているので、相槌だけ打てば良いと分かって、そのままお付き合いする。
 私はね14人家族がいたのよ今は一人だけど、でもさみしくはないのよだってテレビもあるし・・・友近が演じるわけあり女の独白のようでもあった。

 でも、次に会ったらどうしようと思っている。覚えていないか。