「消費生活アドバイザー」

 私は7年前、経済産業省(当時は通産省)の外郭団体である(財)日本産業協会が発行する「消費生活アドバイザー」という資格をとった。ちょうど勤め先を一旦やめた後だったので、時間が余っていて何か打ち込めるものが欲しかったのかもしれない。
 しかも、本に載っていたこの資格を取った人の体験談では仕事の誘いがすぐに来たという。
  この資格を取るための近道は産業能率大学に通信教育を申し込み、試験の前の直前対策講座に通うことである。これだけで5万円くらいの費用がかかる。
 筆記試験の1次、小論文と面接の2次試験を受けて資格を取った。

 資格をとって、すぐに仕事のお誘いの話でも来るのかなあと思ったらそのようなこともなく、NACS(ホームページ)nacs [公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会](社団法人 日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会。 大泉洋がいる劇団の方ではない)にも入ったらなんとかなるかなあと思ったが、そこで仕事の紹介があるのは首都圏が中心で、全国の大都市の場合だけ。地方都市在住にとっては「この資格をとったら仕事が見つかった」という紹介はほとんど資格商法に近い。
  
 といっても、腐ってばかりいられないのでNACSの地方部会に所属しながら、資格を活かせる道を探した。
 資格の知名度を上げようと地元の雑誌に連載を持ったり、行政の審議委員になったりなど。やがて仕事の誘いも受けるようになった(勤務地が遠くて断ったが)。あきらめずに続けていれば何かの道は開かれるようである。

 この資格、資格を持っているだけではスペシャリストにはなれないのである。この資格だけで食べていくのはかなり難しい。資格習得の時の勉強をする習慣を捨てずに磨いていかないと、自信がもてないし、説得力もない。できれば自分の本業とリンクさせるのが望ましい。TVの生活情報番組にたまに出てくる阿部洵子さんは消費生活アドバイザーの肩書きではあるが、お掃除のスペシャリストとして活躍している。アドバイザーの試験内容とはあまり関係が無いが、独自の世界を磨いていった特異な例だと思う。

 この資格をせっかくとったから活かしたいと言う吝嗇な気持ちで色々やってきたつもりであるが、良かったことは
 ○資料や専門誌を読む習慣がついた
 ○文章を書く機会が増えた
 ○同じ有資格者の人たちと知り合いになれた
 ことだろうか。

 文章を読むのが苦にならなくなったのは直接資格とは関係ない今の仕事でも活かせている。職場のIT化がすすみ、目を通す社内文書の量が格段に増えているからだ。

 この資格、実は消費生活に関連する情報のリテラシーをある程度持っているということで与えられているのだと最近わかってきた。