『論争 格差社会』(文春新書)を読む

昨日新幹線の中で読んだ。今日本は格差社会なの?の疑問を整理できる本。データなどから冷静な判断をしている学者、反対に感覚的に格差社会がすでに出来上がっているものとしゃべる経済評論家、昔の金持ちは良かった、だから今もお金持ちができる格差は必要、で<派遣社員ならではの下流の発想>と断じるご老人達の対談、さらに、これからの生き方を提言する処方箋までバランスよく配されている。格差社会の中ではいわゆるニートの問題とまぜこぜになって評されがちなのだが、本書ではニートそのものの定義についても疑問を投げかけていて、スッキリする。

少なくとも昔は良かったとは私は思えない。「働かなくても飢えない」という環境に身を置ける今の日本人はやはり幸せだ。格差があるといいながら、ちょっとした消費でクラスアップできるという幻想がまだ通用している(だから、多重債務に陥ってしまう若者も多いのだが)。
今の若者は欲しい物が無いとも本書で言われているが、老若男女、小さくとも「夢中になるもの」を見つけることが良薬と分かっている人も多い。それが消費としてちゃっかり経済活動に組み込まれてしまうのが今時。
青いタオルハンカチも再発売されることですし。