20年前には・・・

 昨夜、「弟」の最終回をうとうとしながら見ていたのでかえって目が冴えてしまい、NHKアーカイブスを見る。20年前の1984年作品で、母親を亡くした家族のドキュメンタリーであった。その家の長女は私とほぼ同年代で、私立の女子高に通っている。はっと思ったのはその話し方である。今のように語尾を強めず、伸ばさず、消え入るような感じでやさしく話す。あの時代、言葉使いにまだ女性の領域が多く残っていたのだなあ(私がそんなやさしい言葉遣いをしていたかは記憶にない)。
 大企業に勤める夫の妻として、その亡くなった母親は病に倒れなければ家庭のために、子どものために過不足なく主婦業をやりとげるつもりであっただろう。その番組では母親の家庭での存在の大きさというものがテーマにもなっていた。ドキュメント番組の最後に産婦人科医師は28歳までにほとんどの女性が出産を終えるため、その後40台後半までがのがんの早期発見を妨げるという話しをしていた。
 20年前の女性はほぼ28歳で出産を終えていた?!
 今では信じられないことである。28歳で第一子を生んでいたら早い方ではないか?
 私はそんな時代に思春期を過ごし、そんな空気を感じていたということを思い出した。25歳から先は子育てをしている。その先も子育てをしているかも、と何の考えもないまま、学校を出て結婚するまで何か適当に働いてと言うくらいしか考えてなかった。同時代の人でもきちんと一生という長さを考え職業をきちんと考えていた人ももちろんいたから社会のせいばかりとは言えないが、この頃何の将来的職業計画も持たなかった若い時の自分を責めていることが多かったので、この事実を改めて知ることで、若い頃のパーだった自分を少し許してやろうかと思えたのである。この20年の間に女性を巡る環境、価値観は何と激変したことか。 
 
 夜、HDDレコーダに録っておいた「弟」第2話、3話を見る。当時の映画のシーンを取り直したり、看板や小道具までドラマの出演者の顔で作ったりとかなり凝っているのは楽しめた。 
 だが、私の年代だと(太陽にほえろ以降しか知らないので)裕次郎はもう重役然とした貫禄のあるおじさんという印象しかなく、何が多くの日本人をとらえたのかは感覚的にはわかりにくい。